コラム
慰謝料増額~3倍基準とは~
慰謝料算定基準
傷害慰謝料は、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」 (赤い本と呼ばれます。)の慰謝料算定表を用いて、入通院期間に応じて算定されます。原則は別表Ⅰという基準が使われますが、むち打ち症で他覚所見がない場合や、軽い打撲や挫創の場合は、別表Ⅰよりは低い金額の別表Ⅱが使用されます。
例えば通院期間が15か月であれば別表Ⅰでは164万円となります。
3倍基準による修正
ただし、「通院が長期にわたる場合は、症状、治療内容、通院頻度をふまえ実通院日数の3倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもある」として、実通院日数を基に修正され、低い金額となることがあります。通院が長期に亘るものの通院日数が少ない場合は、保険会社からこの3倍基準での金額が提示されることがあります。
例えば骨折で、通院期間15か月、月1回で通院した場合、実通院日数を基準とすると1日×15日×3倍=45日となり、1年間治療したにもかかわらず45日分の慰謝料40万円となります。これでは別表Ⅰとは124万円もの差が出ることになります。
3倍基準に対する反論
この3倍基準は、あくまで「目安」にすぎません。症状にもよりますが、例えば骨折の場合は頻繁に通院するものではないことから、実通院日数で算定すべきではなく、完治するまでの期間に応じて算定すべきです。診断書等から治療内容の確認や、医師から聞き取りや医療照会を行うことにより、治療期間で算定すべきことを強く主張し、慰謝料の増額交渉をしていくことになります。
なお、骨折の場合、ギブス固定をしている期間は入院期間とみることがあり、さらに慰謝料は高くなります。
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